会員から会員へ リレーエッセイ「もし、税理士でなかったら、たぶん今も営業マン」インクライン 2026.11月号
開始日:2026-11-01
もし、税理士でなかったら、たぶん今も営業マン
売る営業から、聴く営業へ。営業時代の経験が、今の私をつくっている
滋賀支部 堀口 力哉
【はじめに】
私は今年2月に税理士登録をしました。まだ登録して1年にも満たない新人です。
ここまで来るまでには、仕事をしながらの税理士試験受験生活に何度も心が折れそうになり、「もう諦めようかな」「昔の仕事に戻ったらどうなるだろう」と考えたことも一度や二度ではありません。そんな私が今回のお題「もし税理士でなかったら」
答えは、かなりはっきりしています。たぶん、今でも営業マンです。
【過去の私】
私が今の業界に入ったのは約16年前。結婚をきっかけに将来のことを考え、税理士という仕事を知り、思い切って転職しました。それまでの私は、高校卒業後に就職し、食品メーカーの営業職として働いていました。主に個人販売店、大手スーパー、病院、給食会社などを担当し、営業目標(ノルマ)もありました。
大変なこともありましたが、振り返ると、苦労した記憶より楽しかった記憶のほうが多く残っています。その後は電化製品の配達員として独立開業も経験し、いろいろな仕事を経験してきましたが、今でも強く印象に残っているのは営業時代です。
【営業時代の思い出】
営業をして学んだのは、「商品を売ること」と「自分を売ること」は別ではない、ということでした。お客様が何を必要としているのか。いつ必要としているのか。日頃から良好なコミュニケーションを取っていれば、少しずつ見えてきます。
「商品を買ってもらうには、まず自分自身を買ってもらおう。」・・・今思うと、18歳にしては、なかなか生意気です(笑)。
新規営業先の担当者から「君のこと気に入ったわ。これからは君の会社から買わせてもらうわ」と言っていただいたことがあります。これは本当に嬉しかった。商品ではなく、自分を認めてもらえたような気がして、営業の仕事がますます好きになりました。
【今、税理士になって】
そして現在、巡回監査をする中で、「あれ?これって営業と似ているな」と感じることがあります。社長様の悩みや、今起きている問題、これからやりたいことをお聞きする。まずは「聴くこと」。そこから相手が欲しい情報を見つけ、会計・税務の専門家として、その必要な情報をお届けする。
昔のように商品を売るのではなく、仕入れた知識と経験をもとに、会社にとって必要なものを一緒に考えていく。それが経営助言なのかなと思います。
そう考えると、私は営業から税理士に転職したつもりでしたが、営業時代に培ったものが、税理士という仕事の中で活き続けているのかもしれません。
だから、今も巡回監査がとても楽しいです。
これからも、お客様の声をしっかり聴き、「この人に相談してよかった」と思っていただける税理士でありたい。そして、自分なりの「聴く営業」を、税理士として極めていきたいと思います。