会員から会員へ 働き方改革「税理士業務の未来」インクライン 2026.1・2月合併号
開始日:2026-01-01
「税理士業務の未来」
洛東支部 沖永 陽祐
【エストニアでの視察体験】
8年ほど前にエストニアへ訪問したことがあります。
当時「税理士が消えた国」としてプチ話題になった北欧のIT先進国です。行政サービスや登記関係等あらゆるものがオンライン化されており、国民個々が自身のポータルシステムから様々な手続きができるということでした。国民の税務申告は簡素化され、税専門家の役割は難しい税務判断やデータ分析等の高度なサービスへと移行していったようです。
ほかにも自宅にいながら不動産の手続きや婚姻の手続きができたり、仕事や交友もオンラインが多いという話を聞き、そのシステムや国民のITリテラシーの高さに驚きました。それとともになにか近未来の世界に放り込まれたような感覚もあり、自分にはあまり関係ないような話を聞いている気もしていました。
【日常生活における変化】
その頃の日本ではマイナンバー制度が始まったばかりで、私も「よくわからん番号が送られてきた」くらいにしか思っていませんでした。キャッシュレス決済も浸透しておらず、毎日お財布を持ってランチに行っていました。
その後コロナ禍もあって、日本でもかなり改革がすすんだと実感します。リモート〇〇といった言葉やPayPay支払が今や当たり前です。コンビニで行政書類を取ることも当然になりました。ピンとこなかったエストニアでの話が、10年経たないうちに身近に感じるようになったのです。
これらサービスを使うことで、日常生活においてもすごく便利さを感じるようになり、時短につながるようなことも増えました。
【税理士業界にも大きな変化が】
税理士業界においても電子申告の普及や最近であればクラウド会計の普及まで。私が会計事務所で働き始めた20年近く前は月末に税務署へ申告書を持参していたこと、TKCでは財務エントリが主なシステムだったことを思えば、すごい進歩です。これからはAI活用等、更なる変化が求められるようになります。
【税理士業務の未来】
この記事を執筆するにあたり、エストニア視察の資料を見直しました。
時代の流れに乗り遅れることなくシステムやサービスを活用すること。我々税理士は付加価値の高い業務をすることを求められているのだと再認識する機会となりました。