会員リレー
2025-12-01

会員から会員へ 働き方改革「468,563㎞」インクライン 2025.12月号

開始日:2025-12-01

「468,563㎞」
両丹支部 本井 哲也

1.悲しい別れ

タイトルの数字は、私が9月の中旬まで乗っていた車(平成17年の春に購入)の走行距離です。遠方への移動は電車を利用し、仕事以外で車の運転をすることがほぼない私なので、これは京都府北部を仕事でうろうろしたことのささやかな記録です。
愛車という言葉がありますが、もし神様(もしくは悪魔)が現れて、「なにか一つだけ願い事を」と言ったならば、迷わずに「この生涯は、最後までこの車で」と答えるつもりだったのですが、神様(もしくは悪魔)は現れることなく、入手することができない部品があるため次の車検は通らないという現実の前に、仕方なく、お別れをすることとなりました。

2.喜怒哀楽

生きていれば、なにかしらの感情が生じるものですが、ここ20年くらいの仕事中、私のなかに生じた喜怒哀楽のすべてを、この車は知ってくれているのかなという思いがあり、それ故に強い愛着が生まれていたのかなと思います。
そしてそれを思うとき、誰の中にも喜怒哀楽があることを改めて意識し、その中身は知る術もないけれど、ただあるということを思うだけで、誰に対しても、やさしい気持ちで接しなくてはと(それは実に難しいことですが)、思えるようにもなりました。

3.サウンドトラック

上記の車は、その車種の中でも一番安いタイプであり、ドアや窓の開け閉めは手動であり、ナビはもちろん時計さえついておらず、カーステレオの類も最初から未搭載でした。
しかし、車内には絶えず音楽が流れており、それは自身で編集したカセットテープを、小さなラジカセで流していたのですが、その音楽が、私にいつも、本当に大きな力をくれており、大げさでなく、これがあるからやれているのだなと、思えたりもしていました。
少し気取って言うならば、我が人生という名のロードムービーに、気の利いたBGMがいつも流れているような、そんな感じだったりしていました。

4.不易流行?

10月からは新しい車に乗っており、最初は戸惑いましたが、慣れてしまえば乗り心地は本当によく、かつて永遠を誓った前の車に後ろめたさを感じながらも、機嫌よく、日々生じる喜怒哀楽と共に、京都府北部をうろうろしています。
働き方の改革ではありませんが、車を乗り換えたことで、仕事の移動に大きな変化が起きたことを(信号で停車するたびにエンストしたり、走行中にマフラーが外れて爆音を鳴り響かせたり、そんなスリルのある日々が終焉したことを)、この場をお借りしてご報告させていただきます。
なお、新しい車には、カーステレオもついていますが、相変わらずラジカセから流れるカセットテープの音楽を聴いています。それは、走り続ける限り、ずっと、変わらずに(それが、私にとっての不易流行、なんですかね?)