インクライン2026.7月号 第35期基本方針「挑戦こそが未来を拓く」を掲載しました。
開始日:2026-07-01
第35期基本方針「挑戦こそが未来を拓く」~事務所方針を明確にし、事務所の経営課題に取り組もう~
会長 角谷 雅子
この度、TKC全国会会長の指名によりTKC近畿京滋会の第7代目会長に就任いたしました。
その重責に身の引き締まる思いです。皆様のお力添えをいただきながら、近畿京滋会のさらなる発展に努めてまいりたいと考えておりますので、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。この場をお借りして第35期の基本方針を述べさせていただきます。
第34期は全国会運動方針のもと「その悩みを吹き飛ばそう!」をスローガンに掲げ「未来設計実践勉強会」を中心に地域会活動が展開されました。多くの会員に参画いただき事務所の経営課題に向き合い、改善・実践に結び付き、また地域会の活性化に繋がりました。
第35期はTKC全国会運動方針の第1フェーズが終了し、第2フェーズに突入します。改めて全国会の運動方針を確認したいと思います。
【会計事務所の経営革新】
税理士の4大業務を完遂し、中小企業を元気にしよう!
~月次決算体制の構築がすべての基本~
①月次巡回監査の実施関与先を増やす
②FXクラウドシリーズでTKC方式の自計化を推進する
③月次決算速報サービスを活用し、自己資本比率の向上を支援する
運動期間は2025年から2030年の6年間で、2026年までの2年間を第1フェーズ、残りの4年間を第2フェーズとしています。この運動は税理士の4大業務を同一企業に同時提供することにより、中小企業の黒字決算・自己資本比率アップ・賃金アップ等を支援し、地域社会に貢献することができる、まさに税理士の使命を全うするための運動です。
この税理士の使命を真正面から受け止め会員事務所が第2フェーズに向けて準備できるような活動を展開していきたいと考えています。
昨今、相当の注意義務(税理士法第45条第2項)違反の処分事例が増加しています。今後デジタルシームレスを前提とした仕訳・帳簿が生成されるなか税理士法第45条が要求する「相当注意義務」をどのように果たすのかを真剣に考えなければなりません。
坂本全国会会長は「税理士として通常確認すべき書類等の確認の意味」の中で次のように述べられています。
『「確認」とは「物事の正確さや事実を確かめる行為」をいい、「物事の正確さや事実」を「確かめる」ためには、単に形式的な「証憑との照合」に留まらず、「証憑の吟味」が必要です。法的に見れば、「確認」とは事実認定に基づく法律判断です。(中略)これが、税理士法が求める相当の注意義務履行の最低許容ラインです。このような理解に立てば、他に手段があれば別ですが、これを行うためには、現地・現物・現人に基づく巡回監査を行うことが最良の手段である』(TKC会報2026年4月)
巡回監査でやるべきことは「真正の事実の確証」と「経営助言」です。それを実践するためには、①TKCシステムの徹底活用、②経理指導の徹底による月次巡回監査体制の構築、③事務所のレベルアップが極めて重要であると考えます。
TKCシステムの徹底活用
なぜTKCシステムなのか。それはTKCシステムの開発目的がコンピュータ・ビジネスに成功することではなく、「会計事務所の職域防衛と運命打開」としており、「税理士業務の完璧な履行」「関与先企業の存続発展」が大前提となっているからです。今後AIが発展し「記帳」という概念が大きく変わる中で税理士法第1条の使命を果たしていかなければなりません。それを踏まえて開発されているのがTKCシステムなのです。
またTKC自計化システムは「経営者が絶対に手放せないものとする」というコンセプトのもと開発されていま向上させる様々な機能が搭載されています。FXクラウドシリーズをただ導入しただけではその目的を発揮することはできません。
関与先を「会計で会社を強くする」ためには「会計」を経営者に届ける必要があります。経営者が自ら変動損益計算書をはじめとするそれらの機能を活用し、考え、意思決定できるよう関与先の業績管理体制構築を支援していきましょう。そしてその前提となるのが「初期指導」です。
経理指導の徹底による月次巡回監査体制の構築
月次巡回監査体制を事務所に根付かせるには、所長の強い実践意思はもちろんのことその方針を明確化させ、職員及び関与先へ指導方針等についての説明を行い、根気強い経理指導により関与先受入体制を構築する必要があり、巡回監査の質を上げるには巡回監査機能(巡回監査報告書)の内容理解と活用が重要です。
近畿京滋会ではかねてより「巡回監査体制再構築プロジェクト」を立ち上げ「初期指導」を徹底し巡回監査体制を構築するための研修を開催しています。第35期はさらにバージョンアップさせて所長向けの事務所見学会等(事務所方針を明確化するための研修)と職員研修(初期指導の徹底による巡回監査体制構築)を実施します。
事務所のレベルアップ
TKC基本理念(25項目)の第7項目では「TKC会計人は、『事務所の体質改善』と『業務の品質管理』とに最重点を指向されているので、所長と職員の研修参加を、強く要請されている集団である。」とし、受身の姿勢で、ただ会計人の具体的ニーズを満たしていればよい、という状態を続けることを許さない。(TKC基本講座第5版P32)と記述されています。
会計事務所を取り巻く環境は急速に変化しています。この変化に対応するためには、単に業務効率化をすることではなく、不死身の高付加価値経営の実現を目指さなければなりません。変化を察知しどう対応するかを考える機会やヒントがTKCにはたくさんあります。情報発信、共有、意見交換等を重ね多くの会員が受け取り挑戦できるよう地域会の活性化を図りたいと考えています。
第35期近畿京滋会重点課題
❶ 税理士の4大業務を同一企業に同時提供できる事務所体制の構築~TKCシステムの徹底活用と月次巡回監査の実践~
❷ 地域会・支部の活性化~会員事務所のレベルアップを図る~
1.税理士の4大業務を同一企業に同時提供できる事務所体制の構築
①FXクラウドシリーズ導入と活用
関与先が健全な経営を遂行し、存続・発展するためには、経営者が考え(P)、実行し(D)、検証し(C)、次の打ち手を考える(A)、このPDCAサイクルを定着させることが必要です。また融資を受けている関与先においては金融機関と良好な関係を構築することも重要です。これらの環境づくり(業績管理体制構築・金融機関との関係)を支援できるのが我々会員事務所であり、TKCシステムの徹底活用と月次巡回監査の実践です。
社長の想いを継続MASで共有し、自計化システムへ落とし込み、経営者が自社の最新業績を確認できる体制を構築しましょう。
②アナログ力の鍛錬・発揮
FXクラウドシリーズを導入し、継続MASによる経営計画を策定し業績管理ができる状態になったとしても直ぐに経営者が最新業績をみてくれる訳ではありません。初期指導や経営者への啓蒙など巡回監査における関与先指導には「アナログ力:聞き出せる力、察知できる力、味方につける力、寄せるように持っていく力」(業務の未来設計P34)が重要です。月次巡回監査で関与先に出向き、アナログ力を発揮しましょう。関与先の成長は 職員の成長・やりがいに繋がります。
③書面添付の増加・MISの実施・金融機関報告
地域会は引き続き金融機関とのトップ対談や行職員勉強会の開催によりTKCの取り組みへの理解を深めていきます。月次MISの増加、三種の神器(中小会計要領チェックリスト・添付書面・記帳適時性証明書)が添付された決算MISの実施、金融機関への決算報告会などを通じて金融機関との連携を強化していきましょう。
④挑戦できる事務所体制の構築
AIエージェントの搭載されたTKCシステムが順次提供される予定です。それを事務所の付加価値として活用するためにはOMSやFXクラウドシリーズにいかにデータを蓄積するかが重要となってきます。OMSの活用、FXクラウドシリーズにおける関与先の活用と事務所の巡回監査機能の活用がカギとなります。今後、新たな業務に取り組み、挑戦できる事務所となるために、いま、自分の事務所は何をやるべきかを考え、事務所方針を明確化させましょう。
2.地域会・支部の活性化
TKC基本理念(25項目)の第3項目では「TKC会計人は、旧来の会計人の孤立性を排斥し、職業会計人の血縁的集団の形成と定着とを祈りかつ実践する集団」とあります。地域会の活性化は、会員個々の事務所のレベルアップとなり、「組織力」が強化されます。そしてそれはTKC会計人の社会からの「信用力」を高めることにつながり、関与先企業の成長・発展に貢献することができます。理念を共有し、お互いを高め合い、親睦を深め、事務所経営の課題に取り組んでいきましょう。そして税理士の社会的地位の向上につなげていきましょう。
①地域会執行部のリーダーシップの発揮
②支部例会の参加率向上と充実した支部例会の開催、支部役員会の活性化
③地域会主要行事の参加率向上
④支部とNMS委員会の連携によるNM会員へのフォロー活動
⑤会員増強の支援
⑥事務所見学会・勉強会・研修会等各委員会及びプロジェクトの活動
⑦SCGサービスセンター・事務局・提携協定企業との連携及び協働
『不易流行』-「変わらないもの」を守るための唯一の方法は変わり続けることである
(飯塚毅全集Ⅰ序文TKC全国会坂本会長)
私たちは急速に変化する社会経済環境の中にあります。
この大きな時代の流れを追い風とし、会員事務所が勇気を持って「挑戦」できる活動を展開したいと考えています。
税理士の本来の職責を果たせるよう「運命の岐路」を認識して会計事務所の経営革新に「挑戦」していきましょう。
そしてともに未来を切り拓いていきましょう。