インクライン
2026-06-01

インクライン2026.6月号「『まことの税理士の道』を歩んでいるか」を掲載しました。

開始日:2026-06-01

「まことの税理士の道」を歩んでいるか
書面添付推進委員長 篠田直大

税理士はサムライ業と言われます。20歳前後にサムライ業を仕事にしようと思った私は、サムライの 生き様とはどんなものだろうと思い、書店や図書館に通い、侍道的な書籍を探し、乱読しました。新渡戸稲造の『武士道』、宮本武蔵の『五輪書』などです。命を懸けて道を究めるサムライの生き方に憧れていました。死ぬときは一人。人生とは孤独な道。ただいかに見事に死ぬかということを心掛けるのが武士の道というものだ。

一度きりの人生の道

年を重ね 、結 婚し、子どもが生まれ 、父親になった私は、20代の頃のような熱さが少し和らぎ、バランスをとるようになっていました。志を立てた頃は 、「自分の人生 はこんな風に歩む!」と荒かった鼻息は落ち着き、角が丸くなり、ある意味普通の大人になってしまいました。何事も初めは熱く始まりますが、時が経つにつれ、その熱さが失われ、惰性に流される日々を生きてしまう。私ももれなくそういう人生を歩んできました。
人生は一度きり。ひとりひとり与えられた道は違います。私は私の道しか歩けない。親子や夫婦で一緒に道を歩くことがあるかもしれないけれど、完全に一緒の道を歩くことはできません。であれば、ひとりひとりに「人生の道」という道があり 、その道をいかに生き抜くか 、そこを自分自身に問われているのだと思います。

私の人生の道にAIがやってきた

昨今、AIが様々な業界に影響を与えています。ご承知の通り税理士業界にもその影響は及んでいます。普通な人である私は、税制改正の勉強を毎年一応しますが、正確に頭の中に入っている訳でもなく、困ったことがあったら、ChatGPTなどのAIに質問したり、TKCのデータベースにアクセスをして、疑問や不明点を解消しています。一応税理士ですから、税金の計算方法は、税理士でない人よりかは詳しいかもしれません。でも残念ながらAIにはすでに知識面では負けています。
税理士として生き残るために、今後どうやって生きていくのか。この突き付けられた命題は我々税理士にとって永遠のテーマです。ちなみにChatGPTに「君たちAIが税理士の仕事を奪い、税理士の仕事はなくなるのではないか?」と聞いてみたら、「税理士という職業そのものは無くならない可能性が高いです。ただし、記帳代行や単純な申告書作成、調べればわかるレベルの税務相談は無くなります 。」ということでした 。・・・そんな答えは、ChatGPTに言われるまでもなく知っています。付加価値をつけられないと税理士として生き残れないのは、誰でもわかる。ではどうやって生き残るのか。ChatGPTも色々と教えてくれましたが、今を生きている生身の私が考え実践していることを書いてみます。

「四大業務の同時提供」が結局生き残る道

今、私が実践しているのは、「高濃度の書面添付」×「BASTを活用した経営助言」です。
毎月の巡回監査で真正の事実を確認し、顧問先との情報共有を徹底する。この情報共有は感情の共有も含みます。決算で書面添付を必ず作成し、税務署や金融機関が感動するほどの濃さで書面添付を書きあげる。そして、最低年に一回はBAST の情報と顧問先の数字を徹底的に比較検討し、経営改善の打ち手を一緒に考える。当然書面添付を書きあげるために顧問先のあらゆる情報を把握していますので、より親身で正確な経営助言をします。この保証と経営助言の業務は、もちろん月次巡回監査に裏付けされた正確な会計帳簿をベースに正確な会計、税務業務を遂行した上でです。ひとまずここが現段階で実践している私の税理士の道です。

共に歩もう 税理士の道

宮本武蔵をかっこいいと思ってしまうのは、自己探求し続け、己の道(兵法の道)を生き抜いた人生だからだと思うのです。だから、私も税理士として己の道を生き抜いていきたい、そして出会った人たちに税理士という仕事はやりがいがあってかっこいい仕事だと思ってほしい、そんな気持ちでいます。五輪書によく出てくる言葉があります。「よくよく吟味すること」「鍛錬すること」「 観( 心 で 観 ること)と見( 目 で 見 ること)」。もし宮本武蔵が私たちにアドバイスしてくれるなら、「最新の会計、税務の知識に加え、TKCの新機能やAI などの最新の技術も取り入れて、よくよく吟味し、使い込んで(鍛錬し)、しっかりと心の目で観る(遠いところをしっかり把握し、近いところに惑わされない)ようにしなさい。」といったところでしょうか。
TKCでは、たくさんの研修が企画され、大変有難く思います。その中でとても素敵で優秀なお仲間に出会うことができ、切磋琢磨して一緒に税理士の未来を創り上げていけることに喜びを感じています。情報がたくさんある中で溺れそうになりますが 、よく生きるヒントを共に分かち合い 、「 まことの税理士の道」を同志の皆様と一緒に歩めることができたら、私は最高の人生だと思います。人生とはよりよく生きるヒントを集める旅である。

最近こんなことを思いながら、税理士の道を究め 、楽しむ日々を過ごしています 。