インクライン2026.5月号「求められる税理士であるために」を掲載しました。
開始日:2026-05-01
求められる税理士であるために
洛南支部長 巴山知樹
インクライン5月号の巻頭言の原稿依頼を受け、何を書けばよいのかと思案しておりました。ちょうど執筆時期が確定申告期明けと重なり、この時期は年に一度のお客様との接触が多くなります。私の事務所でも、特段のイレギュラーがない限り、例年どおり申告書の作成が業務の中心となり、一昔前の税理士業務に終始しているのが実情です。もちろん、これも税理士として求められる重要な業務であることに変わりはありません。
しかしながら改めて、「お客様が求める税理士とはどのような存在なのか」と考える機会となりました。ありきたりなテーマではありますが、思いつくままに整理してみたいと思います。
私のお客様の視点で考えてみると、次のような点が挙げられます。
① 正確な会計帳簿に基づいた適正な税務申告
当然のことではありますが、正確かつ適正に申告業務が行われていることは、お客様に絶対的な安心感を与えます。税務業務の基本であり、その前提となる正確な会計帳簿の作成には、月次巡回監査および三現主義(現地・現物・現人)の実践が不可欠です。加えて、保証業務の一環としての「書面添付」の実践も、さらなる信頼性向上のために積極的に取り組む必要があります。
② 現状分析と未来に対するアドバイス
お客様は、「自社の現状がどうなっているのか」「今後どのように進むべきか」といった判断の拠り所を求めています。これは経営助言業務に該当し、「365日変動損益計算書」によるタイムリーな現状把握や、「継続MASシステム」を活用した経営者の想いを反映した事業計画の策定・提供が重要となります。また、クラウドシステムの導入による「月次決算速報サービス」の提供や、「フィンテック機能・証憑保存機能」を活用した仕訳の自動化など、自計化の推進と経理業務の合理化に向けた提案も不可欠です。
③ 資金繰りや資金調達のなどの金融支援
事業を継続していく上で、金融機関との関係は切り離せないものであり、円滑な資金調達は多くのお客様が望まれるところです。保証業務の一環として、金融機関への「添付書面」の提供による情報の非対称性の解消や、「MIS」「月次MIS」によるタイムリーな財務情報の提供は、融資判断の迅速化に大きく寄与します。日本政策金融公庫の「TKCファストリンク」で、申込後概ね5日以内に回答が得られる仕組みとなっています。さらに現在、「予兆管理を強化するための新たな信用保証制度」の創設も発表されており、TKCシステムを活用するお客様にとって有益な提案が可能となります。
④ 安心してなんでも相談できる存在
税務の専門家であることはもちろんのこと、それ以上に、身近で信頼でき、真摯に向き合ってくれる存在であることが求められています。時には厳しい助言も含め、親身に相談に応じる姿勢が重要です。このような信頼関係は、年に数回の面談で築けるものではなく、月次巡回監査を通じた継続的な関与の積み重ねによってこそ形成されるものだと考えます。
以上、思いつくままに「お客様が求める税理士像」を挙げましたが、いずれの点においてもTKC全国会が提言している内容と合致していることに改めて気づかされます。
すでに先生方のお手元に届いているかと思いますが、TKC全国会より『TKC会計人 業務の未来設計』が発刊されています。お客様が求める税理士像と、その実現のための具体的な指針を示したテキストとなっておりますので、事務所内研修はもとより、事務所経営の指針として改めてご一読いただきたいと思います。
最後に、お客様が求める税理士であり続けるために、TKC全国会の運動方針針をしっかりと理解し、事務所経営の根幹に据え、共に前進してまいりましょう。