インクライン
2025-10-01

インクライン2025.10月号「TKC Pride~それぞれのカタチで未来を拓く~」を掲載しました。

開始日:2025-10-01

TKC Pride~それぞれのカタチで未来を拓く~
研修所長 多胡 勘九郎

1.TKCを知ったあの時 ~今も変わらない想い~

今から20年近く前、私は税理士を志望して大原簿記専門学校に在学していた時期に、運よく坂本孝司TKC全国会会長の講演を聴講する機会に恵まれました。当時は税理士になりたいという思いは抱いていたものの、目の前の受験勉強に必死な一受験生であったがゆえに、自分がこの先どんな税理士(会計人)になりたいのか、その夢の形に確固たるものは持っていませんでした。その講演の中で、坂本先生からご自身の生い立ちや税理士とりわけTKC会計人としての誇りとその生き方、飯塚毅初代会長やTKC全国会の歴史など多くのことをお話頂き、「税理士は社会に必要なもの」、「税理士ってカッコいいよね」、「税理士ってすごく誇りのある職業だよ」と熱くお話頂いていたシーンを今でも鮮明に覚えています。講演の最後に坂本先生は、「今日こうして、私の話を聴いて本気で税理士になりたい!と思ってくれる人が1人でもいたら、私は今日ここに来て良かった。」、「もし神様にもう一度生まれ変わったら何になりたいか?と聞かれたら、間違いなく『もう一度税理士になる』と答える。」と仰いました。当時の私にとってこの言葉は強烈なものであり、強く背中を押され、税理士という仕事を天職にしたい、そう心に誓うとともにTKCのカッコよさに強い憧れを持ちました。坂本先生はまた講演の中で、この先自分も一生懸命に取り組んで、「背伸びをしたら飯塚先生の足のつま先に手が触れられるくらいになれたらいいな、そんな思いでこれからも頑張っていく。」と仰っていましたが、その後TKCへ入会し今になって思うと、坂本先生でさえそのような想いを抱かれている・・・あらためてTKCの凄さを実感するところです。
当時のあの想いを決して忘れることはない。これからもTKC会計人として邁進していきたいと思います。

2.その先に待つ未来に向かって ~今ここから挑戦のとき~

社会経済環境が大きくそして急速に変化していく昨今の状況下において、TKC全国会から、コンセプトムービー「税理士の未来」及び新たなツール「TKC会計人業務の未来設計」が提供され、また、新しい運動方針「会計事務所の経営革新~税理士の4大業務を完遂し、中小企業を元気にしよう!~月次決算体制の構築がすべての基本」も掲げられ、今年は会計事務所の経営革新に取り組むその元年、まさにこの先の未来を決定付ける大切な年となります。
よくスポーツ選手に例えられますが、同じ競技「形」をしていても、成功する者とそうでない者、これはカタチの違いであると言われます。「カタ(型)」に入れる「チ(血)」が違うからであると。一見同じような形をしていても、実は「カタチ(型血)」が違う。ある意味個性として非常に重要な点であると同時に、これはせっかくの良い型があっても、その使い方や向き合い方を誤ると結果が伴わないということもできると思います。現状の課題と真剣に向き合い、未来を設計し、その解決を後押しするTKCツール「型」をフル活用しながら、正しい努力と向き合い方でそれぞれの血を費やしていけば、きっと変化にも負けない強靭なTKC会計人としてのカタチ(未来)が待っているのだと思います。その先に待つ未来が、TKCがあってよかった(社会の納得)、TKCの税理士で良かった(関与先様)、TKC会計人でよかった(自己)というPrideに満ち溢れ、税理士が天職であると心の底から思える日が来るのだと信じています。20年前、坂本先生が仰った「皆さんもそんな税理士になってください」、そのエールに応えられる税理士でありたいと思います。

3.最後に

TKC全国会の新しい運動方針において、会計事務所の経営革新にそのすべての基本が月次決算体制の構築であることが掲げられ、そのためには、会員先生はもちろんのこと、巡回監査の担い手である事務所職員様の能力開発と資質向上が極めて重要です。飯塚毅初代会長は「90時間研修の意味するもの(昭和57年2月)」の中で、「税理士は、国家と社会とから尊敬され信頼されることを行動で示す責任があります。(中略)かつて、高度の試験に合格したことがある、という歴史的事実だけによっては、われわれの生活と権威とは、守り切れなくなったのです。」と述べられています。生涯研修及び職員研修の重要性を再認識し、会員及び職員にとってその資質向上に資する有意義な研修機会を提供し、月次決算体制の構築の一助となるよう近畿京滋研修所としての務めを果たしていきたいと思います。