インクライン
2025-09-01

インクライン2025.9月号「未来の税理士はあなたですか?」を掲載しました。

開始日:2025-09-01

未来の税理士はあなたですか?
システム委員長 三須 友晶

【全国役員大会】

去る7月17日~18日、北海道札幌において第52回TKC全国役員大会・研修会が開催されました。
多数のご来賓、TKC全国会理事、地域会役職者、㈱TKC社員など、総勢1,000人以上の関係者が一堂に会し、TKC報告、会長講演、全体研修会等が行われました。
全体研修会のパネルディスカッションでは、角谷雅子副会長がパネリストとして登壇され、大いに活躍されました。これらについてはProFITで配信されていますので、ぜひともご覧いただければと存じます。
特に会長講演では、運動方針である「月次決算体制の構築がすべての基本」から、巡回監査の本質についてお話しいただきました。現地に赴き実物を確かめ、社長・経理担当者と顔を合わせ対話する(三現主義)。この必要性や付加価値は、デジタル化・クラウド化が進み、行かなくても表面上はできてしまう仕組みが整いつつある中、より際立つものになってくると思います。

【全国会システム委員会】

7月18日午後~7月19日、全国会システム委員会が同場所にて行われました。
委員長はじめ全国会理事、地域会のシステム委員長、各システム小委員長、各地域会オブザーバ、TKC社長以下社員、総勢200名超の参加がありました。
600ページを超える委員会資料を基に、議事が進められました。主な内容は各システムの開発状況報告と開発予定に係る妥当性の審議であり、各地域会システム委員長を中心に質問や要望の発言があります。審議内容が膨大であるため、1週間前には資料が配信され、事前質問も受け付けられます。
特にクラウドシリーズやOMS等、新時代の業務環境を大きく左右する新しいシステムについて、多くの時間が割かれ、質問や要望も多数ありました。『内容についてはProFIT-掲示板・ライブラリ-TKC全国会ライブラリ-システム委員会→システム委員会資料(過去開催分)』
こちらにすべての資料が掲載されています。内容を簡単にまとめたダイジェスト動画も掲載されていますので、ぜひご覧ください。

【変化をチャンスに】

さて、私事になりますが、現在37歳、2010年に新卒でこの業界(父の事務所)に入り、これまで15年間、TKC会計人として仕事をしてきました。諸先輩方と比べればわずかな期間だと思いますが、それでも仕事を始めた当時と今とでは、業務環境が大きく変化しています。
当時、まだ地方税の電子申告が全地域で可能にはなっていませんでした(全地方団体で可能となったのはH27.12のこと)。その他マイナンバー制度や消費税率の改定、インボイス制度、これらに伴う周辺環境や業務ツールの更新など、あらゆる変化とともに、我々の税理士業務は進歩してきたのを目の当たりにしています。
もう一世代前であれば、電卓(そろばん)を叩いて元帳を合わせるとか、3枚複写伝票(記入、転写されたものをそれぞれ分けて綴じることで仕訳帳・元帳を作成するもの)などが当たり前であった頃からは、劇的な変化と言っていいだろうと思います。
会計ソフトはクラウド化、電子証憑での保存が当たり前になりました。おそらく近い将来、紙証憑はなくなるでしょう(電子インボイス・レシートの義務化と紙証憑の電子保存の義務化)。EUでは、デジタルインボイスの義務化が決定しています。
また、AIの躍進がすさまじい中、我々の業務への活用も始まっています。あえて活用しようとしていない場面でも、インターネット検索結果にはAIによる概要等が自動的に表示され、メール本文の概要や想定返信の表示など、スマホやパソコンを業務ツールとして使っていると、気づけば、いつの間にかAIを使っている状態になりつつあります。
先日の全国会システム委員会では、飯塚真規社長から、TKC会計人がAIを安全に使用できるような環境構築について、TKCで開発にかかる話がありましたので、その実現にも期待したいです。
税理士業界は変化への対応が遅いです。あらゆる変化にしっかり先んじて対応するだけで、大きな武器になります。

【いま何をすべきか?】

こうした外部環境の変化がすさまじい中、我々TKC会員は「変えてはいけないもの」と「変えていくべきもの」をしっかりと見定め、アップデートしていく必要があります。
税理士の4大業務のそれぞれの品質を上げ、同時提供する。そのために必要な最新のTKCシステムを完全活用する。これに尽きると思います。
良いものを提供するのに良い道具を使う、当たり前のことです。手段は変わっても目的(本質)は変わりません。余計なことを考える必要はありません。
良いサービスを提供できる仕組みをつくる(方針決定・人材育成)→黒字化、財務改善など関与先の発展に寄与する→価値を評価され会計事務所の収益構造が安定(安定した職員待遇の確保)という好循環を生むことが大切です。
税理士事務所が永続的に関与先の発展に寄与できるよう、税理士の職責を全うし、社会的地位を高めてまいりましょう。