インクライン2025.6月号「時代の潮流に逆らうな」を掲載しました。
開始日:2025-06-01
時代の潮流に逆らうな
TKC近畿京滋会 広報委員長 池田 陽
近畿京滋会のみなさま、こんにちは。広報委員長の池田陽です。いつも広報活動にご協力を頂き、ありがとうございます。今回は、広報委員長としてではなく、一人のTKC会計人として、昨今の税理士を取り巻く状況をふまえ、私なりに提言させていただきます。
今回の執筆にあたってChatGPTを活用しております。ChatGPTがいかなるものか、あまりご存じでない方もいらっしゃるかと思いますので、ChatGPTによる回答をなるべく編集せず、そのまま掲載しております。(※以下、緑色部分)
1.税理士業とは?
「日本標準産業分類」によると、税理士業は下記のように分類されています。
大分類:L 学術研究、専門・技術サービス業 / 中分類:72 専門サービス業(他に分類されないもの)
このように今更ではありますが、税理士業は「サービス業」の一つです。では、サービス業とは何でしょうか?
サービス業とは、目に見える「物」ではなく、目に見えない「サービス」を提供する業種です。つまり、モノを売るのではなく、お客様へのサポート、快適さや安心感といった価値を提供することを目的とした業態です。
たとえば、下記のような業種が「サービス業」含まれるとされています。
● ホテル業(快適な宿泊体験を提供)
● 飲食業(食事と時間を楽しんでもらう)
● コンサルティング業(知識・アドバイスを提供)
● 医療福祉(健康や安心を提供)
税理士にあてはめると、確定申告書や決算書という、目に見える「物」も存在しますが、本来的に提供しているのは、専門知識に基づくサポート、安心、信頼、経営改善への助言といった無形の価値です。そのため、税理士は、単なるサービス業ではない、高度な「専門サービス業」というべき立ち位置だと考えられます。
2.サービス業からみた、税理士に必要な姿勢とは?
ChatGPTに、我々税理士が、「専門サービス業として、必要な資質、姿勢」について質問してみたところ、下記の答えが提示されました。
■ 1.専門知識と継続的な学習意欲
税務、会計、法務、経営などの専門知識を常に最新に保つ努力が必要です。
■ 2.高い倫理観と公正さ
税理士は「法令遵守」が絶対条件。ときに顧客の要望を断る勇気、正しい判断を貫く覚悟が必要です。
■ 3.サービスマインド(ホスピタリティ)
上から目線ではなく、パートナー意識で寄り添うことが大切です。
■ 4.コミュニケーション力
経営者の課題や悩みを引き出し、適切にアドバイスするには、聞く力・伝える力が欠かせません。
■ 5.変化に対応する柔軟性
クラウド会計、AI、電子申告義務化……。テクノロジーは凄まじいスピードで進化しています。「昔ながらのやり方」に固執せず、変化を前向きに受け入れ、自分をアップデートする柔軟性がないと、あっという間に時代に取り残されます。
■ 6.経営的な視点
税理士自身が数字を通じて経営を見る力を養い、単なる計算屋ではなく、経営パートナーとして提案できる視点が必要です。
この内容に驚きませんでしたか?
税理士として、1と2は当たり前として、3、4、5、6は出来ていると思いますか?
恥ずかしながら、私自身は未だできていないと感じております。
3.変化に対応する柔軟性がないとどうなるのか?
先ほどのChatGPTの答え「5.変化に対応する柔軟性」について、さらに、「もし、変化に対応する柔軟性がなく、変化に追従できないと、どういう弊害が発生するか?」と質問してみました。すると、下記のような厳しい答えが返ってきました。
■ まとめ:変化に対応できないと「緩やかな死」を迎える
つまり、
● クライアントを失い
● 利益も減り
● 人材も来ず
● 法制度からも取り残され
● 最後は自分自身も疲弊する
そんな、誰にも求められない存在になってしまうということです。
ちょっと極端な答えではありますが、大きく間違っているとは思いません。一方で、次の答えも提示されました。意外と優しい一面も持ち合わせているようです。
逆に言うと、
「変化に対して怖がらず、まず一歩踏み出す」
「小さくてもいいから、今できる対応を続ける」
これだけで、未来は大きく変わるとも言えます。
ここで再度、先ほどの答えを振り返ってみます。
■ 5.変化に対応する柔軟性
クラウド会計、AI、電子申告義務化……。テクノロジーは凄まじいスピードで進化しています。「昔ながらのやり方」に固執せず、変化を前向きに受け入れ、自分をアップデートする柔軟性がないと、あっという間に時代に取り残されます。
みなさまにお聞きします。
「FX2クラウド」への切替え、導入は進んでいますでしょうか?
「TDS(証憑ストレージサービス)」は、導入されましたでしょうか?
クラウドサービスは何も特別に新しいものでもなく、広く社会に普及しているスタンダードなテクノロジーです。その
証拠に、みなさまの手元にあるスマートフォンのアプリの殆どはクラウド型サービスです。
また、ペーパーレス化も社会の要請です。単なる流行ではなく、社会全体のデジタル化や、コスト削減といった、社会的ニーズに対応するための不可避な動きだといえます。
このような社会情勢の変化を踏まえ、令和4年の税理士法の改正により、新たに「第二条の三」が明記されたことも、至極当然といえます。
(税理士の業務における電磁的方法の利用等を通じた納税義務者の利便の向上等)
第二条の三 税理士は、第二条の業務を行うに当たつては、…以下略… 電磁的方法の積極的な利用その他の取組を通じて、納税義務者の利便の向上及びその業務の改善進歩を図るよう努めるものとする。
つまり、税理士自らが進んで、お客様のために、電子化することを法律上においても求められているといえます。
よって、これらの新しいサービスの導入が進まない原因が、お客様によるものだとしても、それは税理士としてさらなる努力が求められているといえないでしょうか。我々はそのようなお客様を説得し、時代の潮流に乗り遅れて不利益を被らないよう、お客様を導く義務があります。
もし、お客様ではなく、税理士側にその原因があるとすれば、、、もはや高度専門サービスを行う専門家として許されないことではないでしょうか。
4.時代の潮流に逆らうな
技術革新や、社会のニーズによる「世の中の大きな流れ」に対して、我々のような一税理士が抗い、歯向かったところで、その流れを変えることは、殆どの場合出来ません。
結局のところ時間と労力の無駄ではないでしょうか。それどころか、事務所の業務品質を落とし、顧客からの信頼をなくすことは目に見えています。
ChatGPTによると、税理士にとって、「乗るべき潮流」と「様子見すべき潮流」の2つがあり、今すぐ「乗るべき潮流」の具体例として、下記が列挙されました。
◎ デジタル化・ペーパーレス
電子帳簿保存法対応
電子申告義務化
インボイス制度対応 → これはもう「待ったなし」。
法律も社会もこの方向に進んでいるので、遅れたら致命的です。
◎クラウド会計・リアルタイム経営支援
freee、マネーフォワード、TKC FX4クラウドなど
月次決算、経営支援のスピード化 → 紙とExcelベースは限界。
クラウドをベースに、リアルタイムに数字を把握・提案できる体制を作るべきです。
◎ AI・ChatGPTの活用
質問対応のドラフト作成
資料の下書き、調査の効率化 → 「AIに仕事を奪われる」というより、「AIを使いこなす税理士」が勝つ時代です。
◎ コミュニケーションの変化対応
Zoom・Teamsなどのリモート面談
LINEやSlackでのライトな相談対応 → 顧客接点のデジタル化は加速しています。
「対面しかやりません」では、若い経営者層に相手にされません。
お断りしておきますが、これらの答えは、ChatGPTから導き出されたものではありますが、私自身が普段から考えていることと大差ありません。どちらかというと、ChatGPTの方が、私よりも厳しい答えだと感じております。
これまでの流れを踏まえて、ChatGPTによる「まとめ」を原文のまま記します。
時代の潮流に逆らうな
税理士は士業であると同時に、経営者に寄り添い価値を提供する「サービス業」の一員でもあります。中小企業経営者が本当に求めているのは、単なる申告書ではなく、経営の意思決定を支える助言や問題解決です。しかし、未だに“先生”の意識を引きずり、サービス提供者としての本質を受け入れられていない税理士も少なくありません。
今、時代は大きく動いています。クラウド会計の普及は進み、経営者はリアルタイムに数字を把握し、スピーディーなアドバイスを求めています。そうした中で、クラウド導入を躊躇する姿勢は、すでに出遅れといえます。過去のやり方に固執することは、顧客を失う大きなリスクとなります。
さらに、ChatGPTをはじめとした生成AIの活用が急速に進み、会計・税務業務の効率化は現実のものとなっています。先進的な事務所ではAIを活用し、税理士自身はより高付加価値な業務に集中する体制を整え始めています。
この変化は、税理士の存在意義そのものを問うものです。人にしかできない「経営者への寄り添い」や「未来志向の提案」にこそ、これからの価値があります。変化を恐れず、テクノロジーを味方につけて進化し続ける姿勢が、私たちに求められています。
個人的には、ChatGPTという、誰でも使用可能なツールを使えば、税理士以外の方でも、このような答えを得ることができる時代となったことに危機感を覚えます。DXに関心の高い若い経営者などは、既にChatGPTをはじめとするAIを駆使し、事前学習を行っているのです。
つまり、我々税理士は、更なる質の高いサービスの提供を要求されることとなるのです。もはや、クラウド会計の導入云々で悩んでいるような状況ではないのはないでしょうか。
5.不易流行
最後に、TKC全国会会長の坂本孝司先生のコメントを紹介させていただきます。
いつまでも変わらない本質的な「不易」の中に、絶えず新味を求めて流動する「流行」を取り入れていくことが「不易」の本質だ、という「不易流行」の考え方に似ています。
「変わらないもの」を守るための唯一の方法は変わり続けることである、という考え方でもあります。 …中略…
絶えず自己変革を追求してまいりましょう。前述した「不易流行」の言葉の通り、まさに変わらない唯一の方法は変わり続けることなのです。(*会報『TKC』令和3年5月号より)
不易を見極め、流行を取り入れ、真の専門家として時代とともに進化し続ける――。
その姿勢が、これからのTKC会計人に求められる使命ではないでしょうか?
変化を恐れない『頭の柔らかい』税理士として、関与先の未来と地域社会の信頼に応え続けてまいりましょう。